2007年08月23日

白い紅茶より、第220番 瓜二つ

「よく、謝っておいたよ」



数分後、気がついた。

お母さんの知り合い、いたんだってコト。



お母さんと顔合わせてたんだっけ。

3年くらい前っかな。



私の家に来て、ホルン購入に大反対していたお母さんを

簡単に別人にしたヒトなんだ。



そのヒトはまた、私がいつも通学で使っている電車が

事故で上下線とも不通になったからと

私を家まで送ってくれたコトがあった。



その話を知ったお母さん。



通常なら、男の人に送ってもらうだなんて

言語道断だと怒りかねないヒトなのに・・・



「なんて面倒見がいいんだろうねぇ」

感激を与えたヒトでもあるんだけども。





誰?って・・・

分かるよね。





そう、そうそう。

拓也先輩だよ。





ああ、お母さんの後に先輩が来てくれて良かった。

お母さんにつっこみばっかり入れてたから

随分、さっきまでの泣き顔からいつもの顔に戻ってるハズ。



お化粧が・・・と思うと

乙女心は複雑なんだけど



先輩には合宿の時とかで素顔はバレてしまってるし

沢山寝たから、お肌のつやはいいハズだ!(違?




「なんか変なコト、言ってませんでしたか?ウチの母」




私はまず、私にとって最大の心配事から聞いたんだ。

だって、何言い出すか分からないし



誰であろうと、何だろうと、とにもかくにも!

大事な先輩を不快な気持ちにさせていたら

断じて許せないからね。




「いや、全然。それよかすごく謝ってたから

こっちが恐縮しちゃったよ」




右手を首の後ろに持って行きながら

先輩はそう言ったけど・・・



え、お母さんが?ホントに?って感じだし

お母さん、先輩に恐縮させちゃってるし。

何やってるんだかもう・・・




「いえ、あの、今回のコトは、私が大したコトないのに

こんなに大げさにしてしまって、ホントにすみませんでした」




とりあえず、私、先輩に向かって

頭をふかーく下げたよ。



あーあ、もう・・・



私が勝手に倒れたんだから

謝るのは私の役目でいいのに。



それに、私に対して「今度は家で倒れろ!」なんて

信じられない言葉を吐いたヒトと

同一人物とはとても思えないんだけども・・・




「ああ〜やっぱ親子だよな。

そういう風に頭下げて謝ってたし

セリフなんかほぼ瓜二つだよ」




なぬっ?!(怒




「ええっ!やっばーい」

「やばいって、どういうイミだよ(笑」




先輩が楽しそうに笑い始めた。

長年の好きな顔を見て

私もつられてちょっと笑ったけど・・・



あのヒトと瓜二つだなんて、かなり焦るよ?



二言目にはお金の話をしたり

東北弁がたまに全快になって

何をしゃべってるのかよく分からないし

全然分からないワケじゃない所が自分ながら怖い



塩辛を、そのまま麺類の様に

ずるずる食べちゃうようなヒトに激似になってきてるって



それはそれは、かーなーりっ!

やばすぎるだろう・・・



というか、あってはならないコトなので

反論ターイム!




「だって、私は父似なハズなので、それはないハズなんです」

自分で思ったけど、ハズハズうるさいって

「ああ、確かに顔はそうだった。マジで親子にしか見えなかったな」




先輩、細い目をして宙を見ながら

ホルンを持って私の家に来て

楽器を買わせる説得をした時のコトでも

思い出してるみたい。




「先輩あの「マジで親子」って今言いましたけど、

父と私は真剣に親子なんですけど・・・?」

「それは分かってるよ。けどさ・・・(笑」




何でそこで、おかしそうに笑うかなぁ。

なんか私、バツが悪いというか

居心地悪いというか何というか



要は・・・面白くないっ!




「先輩!なんでそんなに笑うんですか(怒」

「あ、じゃさ、性格は母親似ってコトで(笑」




最悪。




反論も空しくいきなり話は纏められた上に

いまだに先輩の笑い声は止まらないから




「いえ、性格も似てないんですって。

・・・ホントですって先輩!」




と、否定したのに




先輩の笑顔は続いたんだ。





私は少し無言のまま、先輩を眺めてた。

そのうちに先輩って、ちょっとずるいなぁって思った。






話的には不機嫌極まりないのに








先輩が笑ってくれるなら

何でもいいっかな・・・なんて








そんな風に、思えてきて








私まで、先輩の笑顔が

うつってしまったからでした。
posted by Sakura at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 白い紅茶 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする